
1・深く味わいのある美しい色味
たて糸とよこ糸が織り成す色味に、言葉で表現するのが難しいなんとも言えな色味に魅せられます。このような深い色味はどうして出来るのか・・ある日、外山
滋比古の「知的想像のヒント」を読んでいた。「色を混ぜずに画面の上に隣あわせに並べて少し離れてみると互いの色が混ざり合わさった色として目に映る。たとえば緑色と紫色を並置すると輝いた真珠色に見える」と読んで「あっ!これなんだ」と思った。たて糸とよこ糸の2つの異なった色の糸を織っていくと、2つの色はお互いに引き立てあい、なんとも美しい色が目に映る。印象派の点描と同じ原理だったのだ。隣り合うたて糸とよこ糸が補色で引き立てあえば違った深い魅力的な色味が出来る、その色味に感激していたのだった。
よこ糸を浮かせて柄模様を作ったり、糸の太さを変えて、たて糸の色とよこ糸の色をコントロールすることで色のバリエーションを微妙に作ってある織物を見ると本当に美しいと思う。
たて糸とよこ糸の表面の出し具合で無地でも深い色味を出している織物に魅せられます。
全ての織物は、1・平織り、2・綾織り、3・繻子織、4・もじり織り、四原組織の4つの織りの組み合わせから生まれるといわれているが、織物を見ると、なんとも美しいのでもっと複雑な組織を使っているではと思ってしまいます。
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1・平織り |
2・綾織り |
3・繻子織 |
4・もじり織り |
2・ここちよい、やわらかい色味
天然染色は自然のものから色を作っているので、自然界にある色味になので、ここちよい色味で、肌になじみ、やわらかな色味です。たとえば、化学染料で染めるような黒は天然染料ではできないといいます。天然染色で作られる黒には赤みがかった黒やチャコールがかった黒などで、肌になじむ、心地よいやさしい黒です。化学染料で染めた黒は確かな黒ですが、肌になじみにくく、とっつきにくい感じがします。
3.やわらかな手触り
手織りは、よこ糸を通し打ち込むかげんで心地よいやわらかさと、ふくらみが織り成されます。この作業を連続して織り上げられていく布は、そのときに風と空気も一緒に織り込み、手織り独特のやわらかさが生みだされて着心地がよいのだろうと思います。
一枚の織物が出来上がるまでの工程は、手を掛け、時をかけて、自然と人とで作られる。その長い道のりが一枚の布となり今ここにあるというありがたさがより美しく輝くのだろうとおもいます。
織物は、数学と美術と化学を掛け合わせ、高度な技術から出来ているのものだと思いました。
2013.4.9 久坂美津子